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緩やかにカーブしながらアーチが連続し交錯する
空間は、幾度も体験したことのある西欧建築の記
憶のそれとは全く違う。柱とも梁ともつかないア
ーチ型のモチーフによって、体感する空間が連続
的に変化しつずけ、そこには透明だが存在のある
空気が建築全体に常に流動的に流れている。この
独特の空間体験を失わないような、図書館として
の家具の在り方を見つける事が、蔵書数と書籍配
架計画とともにもっとも重要な課題であった。
一筆書きのようにリボン状にカーブする低い書架
列の間では、あちこちに生まれた淀みの場で読書
する人たちや多摩の風景に視界が広がる閲覧カウ
ンターに座する人々本を探しながら垣間見える友
人や気になるタイトルや情報、カーブする書棚に
誘導されて知らず知らずのうちにこの独特の空間
を体感することになる。この人と本が同時に在る
風景は、図書情報はいつも人の生活に身近にあり
自由で開放された関係に在るのが良いという考え
によるものであり、アーチ列をすり抜けるような
曲線の書架配置が可能になったことによって、建
築空間と家具と人そして情報との新しい関係がこ
こで実現できたといえる。
コンクリート打ち放しだけの空間は、視覚的にも
触覚的にも多くのメッセージをもたらしている。
ここでの全ての家具の素材は、建築と人肌を繋ぐ
重要なインターフェースとして、素材の特徴を生
かしそのまま手肌に届くように注意深く仕上げて
いる。
精密なコンピューター技術に支えられて、製作さ
れた精度の高いアルミや鋼板の書架と手仕事の柔
らかさを生かしたフェルトの椅子は、デジタル技
術とアナログ技術がもたらす家具からのメッセー
ジである。 |