水戸市民会館

竣工年:2023年
所在地:茨城県水戸市
建築設計:伊東豊雄建築設計事務所
  +横須賀満夫建築設計事務所共同企業体

掲載誌
・新建築 2023年9月号
・GA JAPAN 184
・建築技術 2023年9月号






「水戸芸術館」の隣地に建てられた、ホールや会議室、展示室、スタジオ等を組み込んだ複合文化施設である。

家具デザインの基本は、やぐら広場の圧倒的な質量感の木組みに呼応して、建築スケールを身体の手肌のスケール感に引き寄せるため、建築家具の木素材の基本サイズを50mmと厚くしたのが特徴で、シンプルな作りだが建築と家具の一体感を強く印象付けるようにした。

街に開かれた透明な外周部には、訪れた人々が自由に居場所を見つけ、郷土の街並みとの交歓を大いに促し、市民の居場所となり建築の内外の切れ目を無くすための仕掛けを設けることを重視徹底した。

2000席の大ホールや482席の中ホールの客席については、この施設ならではのデザインを追求した。「やぐら」に象徴される木の直線の存在感を丁寧に慎重に引き継ぎ、直線的で簡潔なデザインに仕上げるという全く新しい試みに挑戦した。空気層を内包したクッション技術に着目し、特性を活かしてシートクッションの厚みを驚異的な薄さ60mmに抑えることが出来て、スリムでシャープな印象のホール椅子に仕上がった。